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マイコプラズマ性乳房炎

根室南部事業センター 第三家畜診療課
獣医師 小林 真名

〇はじめに
 「乳汁検査の結果が「菌なし」で返ってくることが多くなった」「乳房を触るとピンポン球から野球ボー ルくらいのしこりがある」「乳量の急激な低下や泌乳を停止する 個体が増えてきた」
 このような状況に心当たりのある方はマイコプラズマ性乳房炎の可能性を考えてみてください。

〇マイコプラズマ性乳房炎とは?
 マイコプラズマが乳房に感染すると、同じ個体の未感染分房にも数日以内に感染し、著しい乳房の腫脹、硬結がみられ泌乳停止になることが 多いです。しかしながら中には症状を示さない個体もいるので注意が必要です。黄色ブドウ球菌( S A )と同様に伝染性乳房炎で、伝染力がとても強いため迅速な対応が必要になってきます。乳房炎の原因となるマイコプラズマは種類程度知られていますが菌種によって病原性が違ってきます。マイコプラズマ・ボビス、カリフォルニカム、ボビジェニタリウムは病原性が高く、乳房炎の原因菌として重要です。

〇陽性牛が出た時の対応
 マイコプラズマの検査を依頼してから検査結果が出るまでは、マイコプラズマ被疑牛を隔離しミルカーでの別搾り、あるいは一頭搾乳するごとに塩素系の消毒液にライナーをどぶ漬けして消毒します。臨床症状からマイコプラズマ感染疑いのある牛の乳汁を検査し、感染牛を見つけ出すのとは別にバルクタンクスクリーニングによって潜在している感染牛を見つけ出すことで、マイコプラズマの牛群への蔓延を早期に防ぐことも可能です。
 陽性が出てしまった場合は菌の種類を調べて対応方法を決定します。病原性の高い菌種が出たときは全頭検査を行い陽性牛の摘発淘汰を実施します。病原性が低い菌種が出たときは牛群の状態をみて、全頭採材を行うか判断します。マイコプラズマ陽性が出たからといって必ずしも全頭検査や淘汰をする必要がないということです。
バルクタンクスクリーニングの基本的な実施方法

〇最後に
 マイコプラズマ性乳房炎対策の基本は早期の検査により陽性牛を発見することです。陽性牛は症状の有無や重症度などにより治療するか淘汰するか獣医師と相談の上、決定します。発症牛には抗生物質による治療も可能ではありますが、ほとんどの場合は治癒困難で他の牛への感染源になることから淘汰を検討します。治療を行った場合は必ず再検査をして陰性になるまで検査を続けますが、この時に陽性牛は乳汁からだけではなく鼻汁などからも菌を排出することがあるので 完全に隔離をします。水槽の共有や他の牛との接触をなくすことも徹底します。マイコプラズマ乳房炎の早期発見には日々の搾乳時に乳房の状態をよく観察することが大切です。マイコプラズマ検査について気になることや、いつもの乳房炎となにか違うと感じた時など、気軽に獣医師に相談してみて下さい。


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